「……違うのか?」
「ち、違うと、言いますか…」
『キスとカウントして、いいものなんでしょうか。
ファーストキス、だったんですよね?』
「……」
(って、そんなこと、言えるわけない~!!)
ぶんぶんと、嘉乃はひとり激しく頭を振った。
「……なんだ?はっきり言わないと分からないだろう」
そんな嘉乃の挙動不審な頭の動きは華麗にスルーした諒太郎。
「嘉乃」
諒太郎は思わず、ぎゅ、と嘉乃の手を掴む力を強めていた。
「……キス、と言えば、そうなりますね…」
名前を呼ばれてようやく動きを止めて、嘉乃は小さな声でそう返した。


