落ち着かない気持ちのまま引っ張られるままに歩き、程無くして屋上に着く。 指示されたとおり、カシャ、と嘉乃がケータイのカメラで、机の上に置いてあったタヌキの置物を撮った。 「可愛くない…」 思わず、ポツリと呟く。 ゲーム終わったらさっさと消去しよう。 そう思いつつ、 「行きましょうか」 と諒太郎に声を掛けた。 写真を撮るために繋がれていた手は、今はもう解かれていて。 だけど、先程まで繋いでいたその手を、諒太郎は再び掴んできた。 ……本当に、繋ぐ、というより、掴む、という感じだった。