君と本気のラブゲーム




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嘉乃が自慢するだけあって。


桜木家のお風呂は最高でした。


まるで旅館か何かみたいだった。


シャワーもなぜかふたつ付いていて、本当に一緒に入れた。


浴室に入った瞬間に檜のにおいがして。


ふたりできゃっきゃしながら温まりました。




「ふあー…。本当に気持ち良かった!」


「でしょ?」


脱衣所でまだほかほかしながら着替える。

七分袖のTシャツに下はスウェットっていう、超簡単楽ちんスタイル。

家で着てるのそのままです。


「あ、このドライヤー借りていい?」


洗面台の棚に置いてあったドライヤーを指差してそう訊くと、嘉乃は、いいよ、と頷いた。


ボーっという風に煽られ、ざっと髪を乾かした。

私も結構髪長い方だから、ちゃんと乾かすと時間かかっちゃうんだよね。

ま、どうせアップにしちゃうし今日くらい半乾きでも大丈夫でしょ。

髪をとかして、くるっと頭の上でおだんごにした。

癖つくけど、明日もだんごにしちゃえばいーや。



…このとき私は、あんまりにも気持ち良かったから忘れていた。

嘉乃のミッションを。


「次私も乾かすから貸してね。……って、あああああっ!」


「な、何事!?」


「わ、忘れてた」

泣きそうな顔で私を見る嘉乃。

「は?」

「お色気作戦その1!!」

「……あ」


そして嘉乃もすっかり忘れていたのだった。


「結局、ミッションってなんだったの?」

「えー…?」

先程までのご機嫌はどこへやら、嘉乃は気の無い動作で髪にドライヤーで風を送っている。

「ああ、お風呂上がりの火照った顔にドキッ!大作戦だったの。やるならやっぱりあがってすぐじゃないとさあ、もうアヤ完全に普段通りだし…。しかもアヤのパジャマ全然色っぽくない」

「そりゃ嘉乃と比べられちゃね」

スウェット姿の私に対して、嘉乃はなんと旅館で用意されているような浴衣姿だ。

同じ女の私から見ても色っぽいと思うもん。

そんな格好の姉に慣れてたら、どっちにしろ私が作戦を実行したところで威力はゼロなんじゃなかろうか。