「…ちっ、ちち違うよ!例えばだよ、例えばっていう話!」
どもってますよ。
視線、泳ぎまくってますよ。
…私は大きくため息を吐いた。
嘉乃、嘘吐くの下手すぎ…。
「まじで…?全然想像できないんだけど…」
あんな爽やかなのに、中身実はナルなの…?
あんな綺麗な顔して、傲慢・我がまま発言しちゃうの…?
……だめだ、やっぱり想像できない。
「だからっ!キョウのことじゃないってばあ!!」
ベッドからおりて私の隣でクッションを抱きかかえたまま。
これでもかと言うくらいぶんぶんと大きく首を横に振って髪を振り乱してる嘉乃。
こらこら。
首を痛めますよ。
さっきまで普通に『性格悪い』言ってたくせに、それが失敗だったと思ったんだろう。
京佑くんの悪い印象を植え付けるという、同じ過ちを繰り返そうとしている現状を嘉乃は必死でどうにかしようとしている。
……なんか可哀相になってきた。
「わかったわかった。とりあえず想像するのは諦めた。この目で見るまではさっきの印象通り、爽やかイケメンくんってことにしとくから」
「そ、そうだよ!そのままで!キープでっ!」
明らかにほっとした顔をした嘉乃。
わかったから、私の背中をばしばし叩いているその手をどうにかしてくれないだろうか。
痛いんですけど。