「じゃあ、アヤはどうやったら誰かを好きになるの?」
眉を寄せ、首を傾げて嘉乃は私を見る。
ずいぶんストレートな質問だな…。
「どうやったらって、そんなん知らないよ」
好きになろうとしてなれるもんじゃない。
「じゃあ、どんな人を好きになるの?」
「好きなタイプってこと?……うーん。ベタだけど、優しい人かな」
やっぱりこう、いつも笑い合えて、そんで優しく包み込んでくれるような人がいいよね。
「ぐはっ!」
しかしそんな私の答えに、妙な奇声上げてベッドに倒れ込んだ嘉乃。
なんだなんだ。
いきなりどうした。
「むーりー」
「は?」
嘉乃はクッションを顔に押し当てて、ゴロゴロとベッドを横断しはじめた。
さっきから、一体どうしたっていうんだ。
「無理だよー…。ねえアヤ、タイプ変えよう?ね、ほら、アヤにはもっとナルシストで傲慢で我がままな人が合ってると思うよ!」
ゴロゴロ運動を止め、クッションを少しずらして私を見ながら、嘉乃はそう言った。
「ナルシストで傲慢でわが…、なにそれそんな人が合ってるって、嘉乃は一体私をどこに分類した」
ノーマルでお願いします…。
いや、私だって、傲慢俺様ナルシスト彼氏、二次元ならキュンですよ。
もしくは見てる分にはニヤニヤもんですよ。
ぐいぐい引っ張って行ってくれる彼氏、素敵。
……その対象が友達とかであれば。
それが自分となると話は別だ。
「だって!相手が変わらないなら、自分が変わるしかないと思うの!」
がばっと身体を起こして、嘉乃はそう力説した。
「ちょっと話が見えないんだけど。…ってもしかして、信じられないけど、京佑くんがナルシスト傲慢タイプってこと?」
よく考えたら、話の流れ的にそうならない…?