「何の話?」
『駅で男と一緒にいたでしょ。気付かれてないとでも思った?』
イラついたような声で京佑くんはそう言う。
……樫野くんといたの、見られてたんだ。
隠れきれてなかったのね。
……ていうか。
「そっちこそ、きれいな女の人と歩いてたじゃん!」
思わず声を荒げてそう言い返す。
だいたい、私はただの付き添いだけど、京佑くんは違うよね!?
しかし、私の言葉を京佑くんはさらりと流してしまう。
『綺深には関係ないでしょ。そんなことより質問に答えて。今もさっきの男と一緒にいるの?』
関係ない、って…。
京佑くんの言ったその言葉が、ずん、と重く心に響いた。
確かに、関係ないかもしれないけど…。
そんなふうに言わなくてもいいじゃん…。