重たい気持ちのまま家に着くと、ただいま、と言う前にポケットでケータイが震えた。
「?」
靴を脱ぎながら震えるそれを取り出すと、表示は京佑くんだった。
……え。
しかも、電話?
いつもはメールしかしてこないのに。
いったい、どうしたんだろう…。
先ほどからのもやもやした気持ちは、電話をとることに躊躇いを与えた。
「……」
……でも、逃げるわけには、いかないし。
「ただいま!」
私はリビングのドアを少しだけ開けて中にいたお母さんに言葉を投げるようにそう言った。
「おかえりー」
と間延びした声を背中に受けつつ、私は階段を駆け上がり、急いで自分の部屋に入る。
そして、意を決して通話ボタンを押した。