────やがて、電車が動き出した。



景色が流れて、私はポールに寄り掛かりながら外を眺めた。




……確かにあの日も、こんな気持ちだったけど。


あれは、原因がわかっていた。



「……」



だけど。




今日は、ちょっと、違う。




だって。


こんなに、窓から見える夕陽が、きれいなのに。


夕焼けに染まった街も、きれいなのに。



いつもなら、その景色を、ちゃんと、目に、脳に、焼きつけるのに。




────なのに今日は、確かに瞳は景色を映してるのに、何も感じられない。



思うのは。



頭の中に、浮かんでいるのは。



さっきの、京佑くんの、笑顔だけ。