────京佑くんと出会って、もうすぐ1か月。
あの頃は、まだ夏の暑さがほのかに残っていたのに。
今はもう、すっかり秋。
吹く風が、少しだけ肌寒い。
やがてホームに滑り込んできた電車のドアが、シューという音を立てて開いた。
ちょうど帰宅ラッシュの時間帯。
ここは始発駅なのですでに乗っている客はいなかったが、ドアが開くと同時に大勢の人が乗り込んで、あっという間に席が埋まる。
そこまで乗車時間の長くない私は、ドアの傍のポールにつかまることにした。
……そういえば、前もこんな気持ちで電車に乗ったな…。
初めて京佑くんとデートした、映画の帰り。
あの時も、こうやって、ポールにつかまって。
流れる景色を見ながら、京佑くんのことを考えていた。
言いすぎちゃったかな、なんて。


