君と本気のラブゲーム



「ただいま」

不意に、低い声が響いた。

……うわ、ついに来た…?

私はきゅっと膝の上に置いた拳を握りしめた。

もうすでに私は食べ終わっていて、嘉乃の完食を待っているところだった。


「あら、京佑も帰って来たわね」


香苗ちゃんのご飯をよそうために立ち上がった嘉乃のお母さんがそう言った。

ガラ、と玄関の戸を閉める音と廊下を歩く音に続いて、居間の扉が開けられる。


……うわ、本当に美形だ…。

制服姿で目の前に現れた嘉乃の弟くんは、京佑くんは、思わず息を呑んでしまうほど綺麗な顔をしていた。

無駄なく綺麗に整った顔。

好き嫌いが分かれるような、異国風な印象を受ける彫りの深さの目立つキリっとした顔ではなく、いつの時代も美男子と言われるであろう、癖のない涼やかな顔立ち。


ふわふわの髪の毛をしている嘉乃や香苗ちゃんとは違い、さらさらと癖のない黒髪。

派手に着崩されていない制服姿が、爽やかな印象を際立たせていた。



「おかえりなさい。今ご飯準備するから、着替えてきて」

「うん、えーっと、お客さん?ならお邪魔だろうし俺後でもいいよ」

居間の入り口に立ったまま、食卓を見てふんわりと微笑み、京佑くんはそう言った。

「あっ!お気遣いなく!私もう食べ終わってるので」

私が慌てて言うと、京佑くんの視線が私を捉えた。

……うわー、正面から見るとさらにイケメン!

しかも、少し低めの声は落ち着いた感じの、いい声。


「ヒロの友達、かな?」

「はい。お邪魔してます。岬綺深といいます」

「どうも、初めまして。ヒロの弟です。じゃあ遠慮なく夕飯頂くけど、俺のことは気にせずゆっくりしてってね」


にっこり笑って言った京佑くん。

なんだか、全てが整い過ぎてて怖くなってきたわ…。


「ごちそうさま!キョウ、アヤは私の親友なの!今日は泊っていくから、よろしく!」


カチャン、とスプーンをテーブルに置いて、嘉乃は私の腕に自分の腕を絡ませながらそう宣言した。


「あ、そうなんだ?ヒロにもお泊りしてくれる友達ができたんだね。よかった」


じゃあ着替えてくるから、と居間を出ていった京佑くんを、嘉乃はぷうと頬を膨らませて見送っていた。