雑貨屋を出て、京佑くんの姿を探す。
きょろきょろと周りを見渡してみる。
しかし、どこか店に入ってしまったのか、見つけることは出来なかった。
諦めて、私は改札に向かおうとトボトボと歩き出した。
……ていうか、私。
追いかけて、どうするつもりだったの?
声をかけるだけなら、はじめから隠れたりしなければよかったんだ。
隣を歩いていたのは、本当の彼女、ではないと思う。
だって、京佑くんの笑顔が、あのぞっとするくらい整った、猫かぶりの方の笑顔だったから。
きっと、遊びのうちの、ひとり。
「……」
気付けば、どんどん歩調が早くなっていた。
肩からずり下がりかけていたバッグを掛けなおす。
……そっか、そうだよね。
お互い、別に恋人がいたっていいんだもんね。
相手を落とせれば、それで…。


