君と本気のラブゲーム


「あー、どうだろうな。でもあんまりこういうの持ってるとこは見かけないかも。わりとシンプルな方が多い」


「え、そうなの?じゃあ違うとこ見よ」



私と樫野くんは、それぞれ手に持っていたものを戻して、若い女の子たちで混みあっている店内を脱出した。


通路が狭く棚同士の距離が近いため、人の合間を縫って歩くのも一苦労だ。


この前遊園地に行くために京佑くんと待ち合わせをした、大きな駅。


その中にある店を見て回っているため、学校帰りの学生の姿が多い。


「あ、あそこは?」


私は、向かいの店の列に落ち着いた雰囲気の雑貨屋を見つけ、そう訊く。


「え、どこ?」


「あそこ!行こう」


私は樫野くんの前に立って歩き出した。



店の入り口は可愛らしい観葉植物が飾ってあり、入ってすぐの商品の棚にも、小さなサボテンや造花が並べられている。



写真立てや食器、アクセサリーなど多くの雑貨が綺麗に並べられていたが、どれも白を基調とした配色。


そんな白い空間の中、ところどころに置かれた観葉植物の緑色が映えていた。



もちろん、それは全体を見ての印象であって、きちんとひとつひとつの商品を見てみれば全てが白いわけではなく。



私がさっきこことは正反対に濃い色ばかりの店にいたせいで余計にそう感じるのかも知れなかった。