「じゃあね、嘉乃。日誌書かなきゃ帰れないんでしょ。頑張ってね」 日直である嘉乃の机には、ほぼ真っ白な日誌が。 「…うん、またね。アヤ」 未だ不機嫌そうな表情ではあるが、嘉乃はそう言ってひらひらと手を振ってくれた。 「じゃーな、桜木」 「ムキーーーっっ!」 あ、樫野くんにはそっちなんだ…。 私は思わず苦笑してしまった。 「マジで桜木はどうしたんだ?」 教室を出ると、首を傾げて樫野くんはそう訊いてきた。 …嘉乃さん。 心配されてますよ。