────そして、放課後。
「岬、行ける?」
SHRが終わると同時に樫野くんが声を掛けてきた。
その声に、勢いよく振り返ったのは私ではなく、前の席の、嘉乃だ。
「アヤにちょっかい出したらコロスから!!」
キッと樫野くんを睨みつけてそう叫ぶ。
美少女が本気で睨むと、大迫力。
樫野くんは驚いたように嘉乃を見た。
「え…。岬、桜木はいったいどうしたんだよ。こえーんだけど」
「ムキーーーっっ!」
「嘉乃、威嚇しすぎ」
謎の奇声を発している嘉乃をなだめながら、私はバッグを肩に掛けた。
なるほど、これが奇声の手本なのか。
たしかにこんな声出されたらひくわ…。


