「樫野くん。なに?」
ケータイをポケットにしまってそう訊く。
「岬、今日の放課後空いてるか?」
「放課後?」
私は首を捻りつつ訊き返した。
「なんで?」
「ちょっと買い物付き合って欲しいんだよ。女の好みって俺わかんねーから」
「え、女!?」
何、私の知らないうちに樫野くん彼女でもできたの!?
「バカ、ちげーよ。妹!」
私の思考を読んだように、樫野くんはそう言った。
「なんだ。妹さん?誕生日とか?」
なーんだ。
彼女だったら根掘り葉掘り訊いてあげようと思ったのに。
「そ。今週の日曜が誕生日でさ。いつもテキトーに食べ物あげてたらなんかキレられた。たまにはもうちょっと考えてよって」
「はー、なるほど」
お菓子とかでももちろん嬉しいけど、毎年それじゃあ確かにテキトーなの見え見えだよね。
私はひとりふんふんと頷いた。


