もしそうだったら申し訳がたたないんですけど…!
「あ、大丈夫大丈夫。私はね。諒太郎さんの方はわかんないけど」
「いいよ諒兄は!多分初だけど、相手が嘉乃なら本望でしょ」
「本望って。……でも、私びっくりしてそのまま部屋出てきちゃったから、それからなんだか気まずくて。…気まずいっていうか、どんな顔して会えばいいのかわかんなくて、あれから1週間連絡とってないの」
嘉乃はそう言って困ったように笑った。
「そっかぁ…。それは…。さすがの諒兄も動揺してる…、かもね」
私に対してはいつもと変わらないように振る舞っていたけど、恋愛経験推定ゼロの諒兄に、こんな美少女との不意打ちキスに耐性があるとは思えない。
ていうか、諒兄がいくら恋愛に興味がないって言ったって、ドキドキしたりはするんだよね?
多分…。
でも、そうか、それは…。
きっかけがないといつまでも気まずいよね。
「うーん。……あ」
「なに?」
「そうだ、学祭!」
私は、ぽん、と手を打って叫んだ。
嘉乃は首を傾げて私を見ている。


