翌日。
「もーー!さっきから何度言ったらわかるの!?」
私は、大きなため息と共に、呆れ声で言葉を吐きだした。
だれか、助けて下さい。
嘉乃がしつこいです。
親友の言葉を信じてくれません…。
「だから、なんもなかったってば!普通に一緒に回っただけ!」
「嘘でしょ?」
いやいやいや。
そんな怪訝そうな目で見ないでよ。
嘉乃は昨日の遊園地デートについて、どうしても「何もなかった」という事実を受け入れてくれない。
「あの手の早いキョウがまだチューもしてないなんて絶対ない!アヤ、認めちゃった方が楽になるよ。ね?」
「認めるもなにも、本当に何もなかったんだって!…ていうか、嘉乃はそうなることを期待して私に遊園地誘えって言ったの?」
「そうだよ!ねぇアヤ、お化け屋敷入らなかったの?入ったらどうせまた誰彼構わずひっついたんでしょ?そんなの、キョウは襲うよ!」
襲うよ、て!
「……ふつーに入ったしひっついちゃったけど、別に何もされなかった!」
「じゃ、じゃあ観覧車は!?密室!迫られたでしょ!?」
「観覧車には乗った、けど……」
そして、ちょっとは、こう…、迫られたといえば、まあ、そうなのかな…?
でも、私と京佑くんの間に「好き」の言葉が交わされることはなかったし、本気のキスなんかしてないし、私、きっと京佑くんにからかわれてただけだし…。