組んだ脚にひじを付いて頬杖を付くような格好で、京佑くんはじっと私を見てくる。
何これ。
私より絶対京佑くんの方がこういう話のネタあるに決まってるのに。
なんで百戦錬磨の女たらし相手に、私なんかの恋愛を暴露しなきゃなんないんだ。
そう思ったけれど、やけにまっすぐ真剣な目で私を見る京佑くんに、私は話を止めることはできなかった。
「彼氏、だったけど、付き合ってたの2カ月くらいだし…。あのころはほんとに好きだったけど、今じゃそんな気持ちも思いだせない」
「……なんで別れたの?」
「気になるの?」
「ここまで聞いたら気になるでしょ」
「……別に、特別何かがあったわけじゃないよ。高校離れて、んで何となく会うのも連絡するのもお互い億劫になったのかな。自然消滅」
「ありがち」
「でしょ。だから余計、キスってどんな感じ、とか、思いだせない。初キスくせ
に、印象薄過ぎて。私、結構淡泊なのかも」
「ふーん…」
京佑くんはそう言いながら、考え込むような仕草をした。
そして何を思ったか、向かいの席から移動してきた。
……私の、隣に。


