「じゃ、恋人らしく頂上でキスでもしとく?」
からかうような口調でそう言った京佑くんに、私は思わず向かいにいる京佑くんに視線を移していた。
「黙れ変態ナルシスト野郎」
「まだ何もしてないのに」
まだってなんだ、まだって。
「恋人でもないのにキスとか言わない!」
「言うのもダメなわけ?綺深、初心(うぶ)すぎない?別に未経験なわけじゃないでしょ?」
「……」
何も答えない私に、京佑くんは目を見開いた。
「え!?」
「ち、違う!けど、昔すぎてもう若干記憶が曖昧と申しますか」
「昔って?」
「中3」
記憶を辿ってそう答えた。
もう3年も前なのか…。
早いなー。
「たいして昔じゃないし」
なんだ、と拍子抜けしたように京佑くんは言った。
「昔、なんて言うから幼稚園とか小学生のころかと思った」
いや、それは…。
カウント、していいのか?
「……それに、1回しかないもん」
「相手、彼氏じゃないの?」


