……暗い。


「ね、ねねね、早く出ようよ…。走っちゃダメなの?ねえねえ、ホント嫌なんだってば…。うー、ねぇ、あそこにあるの何?ホントに全部偽物だよね…や、きゃああああっっ!!」


横からいきなり飛び出してきた何かに驚いて、私は思わず隣を歩く京佑くんの腕に思いっきりしがみついていた。


繋がれていた手を引き寄せて、京佑くんの左腕を抱えるようになってしまう。



「そこまで怖がってると、見てて笑いそうになるんだけど」


「ひ、ひど…ッ」


一度つかっまてしまったら、それがひとりじゃないという安心材料になって、自分からはもう手を離せなかった。


「ほんとに苦手なんだね。だから学祭も受付だったの?」


「わ、悪い!?」


「そんなこと言ってないでしょ。……意外だけど」


京佑くんは、ククッと笑った。


「わ、笑うなぁっ!」


「ていうか、ちょっとくっつきすぎじゃない?胸当たってるよ?別に俺はいいけど」


京佑くんは言って、ニヤリと笑う。


表情なんか見えないけど、絶対、笑ってる。



「へ、変態」


「と言いつつ離れないんだ」


「だって怖いんだもん!!仕方ないじゃん…っ!」


「綺深、涙目ー」


「うるさいっ!!」