今、なんと?
「だから、お化け屋敷。俺ここの入ったこと無いんだよね」
「…っ!や、ややややだよ!私、歩くやつ嫌い!」
私は、歩き出そうとする京佑くんを必死で引き止めてそう叫ぶ。
我ながら、歩くやつ嫌いってなんだよ。
「歩くやつ?ここにはお化け屋敷くらいしかないね。じゃあ綺深はお化け屋敷が苦手なんだ?」
にっこり笑って、京佑くんはそう言った。
「っ!ち、違うもん!!苦手なんじゃなくて嫌いなの!!」
「同じでしょ。……ふーん。じゃ、絶対行っとかないと!ほら!」
京佑くんは、グイッと私の手を引っ張って歩きだす。
「やだやだやだ!!京佑くん知らないの!?ここのお化け屋敷、すごい怖いって有名なんだよ!?」
引きずられながら、なんとか思いなおしてもらおうと、テキトーな言い訳。
ここのお化け屋敷のそんな噂は聞いたことないし、ていうかそんな噂があろうが無かろうが、嫌なもんは嫌だ!
「諦めなって。俺に意見を求めてきたのが悪い」
なにそれ!!
「いーやーーっ!!」
必死の抵抗むなしく、お化け屋敷に入ることになってしまった私なのだった。


