「あら嘉乃、お客様?」
ふと嘉乃のお母さんの後ろから深い声が聞こえた。
その声の主に一斉に視線が移る。
「お義母さま」
「あ、おばあちゃん!ただいま!」
嘉乃が嬉しそうに声を弾ませてそう言った。
「おかえりなさい。そちらはお友達かしら?」
「うん、会ったこと無かった?私の親友なの」
にっこり笑って嘉乃は私の腕を掴んだ。
「あら」
「あっ、初めまして!岬綺深(みさき あやみ)と言います!お邪魔します」
「可愛らしいお友達ね。ゆっくりしてらしてね」
わたわたと自己紹介をしてお辞儀をした私に笑みを見せてそう言うと、おばあさんは玄関から外に出ていった。
嘉乃のお母さんと同じように着物で、やはり着慣れているのだろう、身のこなしがとても綺麗だった。
「お母さん、今日アヤ泊っていってもいいでしょ?」
「あら、本当?もちろんよ、嬉しいわ。綺深ちゃん、夕食は何が食べたい?」
「アヤはビーフシチューが好きだよ!」
「まあ、じゃあ今日は腕をふるっちゃうわ!楽しみにしててね」
「あ、あのほんとお気遣いなく…」
「いいからいいから!じゃあお母さん、部屋行ってるねー」
ぐいっと私の腕を引っ張って、嘉乃は歩き出した。
嘉乃のお母さんはニコニコとそれを見送ってくれている。


