あーあ!
こんなことならスニーカー履いてくればよかったよ!!
私は、足元でカツカツと音を立てて床を叩く、5センチのヒールを呪った。
歩く分にはこれくらいのヒール、なんてことないけど…っ!
走るとなると話は別だよーっ!
人が列をなしたエスカレーターに乗るのは諦めて、その隣の階段を駆け上がる。
「…は…っ…!」
普段運動してないから、さすがに息も上がってきた。
上り切って一度息を整え、私は再び走り出す。
ちらりと時計を見た。
ちょうど、京佑くんのメールから3分過ぎたところ。
やっぱ無理だったよ…!
走りながら、私は心の中で大きなため息を吐いた。
もう!!
私と同じ方向から来た京佑くんだって東口から出たはずなんだから、大人しくそのまま東口にいてくれたらよかったのに!!


