理不尽な内容に抗議すべく、私は京佑くんに電話をかけた。


何度目かの呼び出し音のあと。


『…只今、電話に出ることができません。留守番電話サービスに接続します…』


そんな音声案内に続いて、ピー、という電子音が耳に響く。


……なんで留守電なわけ!?


「ふっざけんなこの鬼畜野郎!!」


メッセージをどうぞ、と言われたので、遠慮なく私はそう叫ばせていただいた。


周りの人が驚いたように、または何かいけないものを見るように、私に視線を送ってきたけれど、今そんなことはどうでもいい。


ピッ、と力強く電源ボタンを押して電話を切り、罪のないケータイを乱暴にバッグに押しこんだ。


もうっ!!


3分で着くのは絶対に無理だけど、遅いって怒られるのも嫌だ…!


私は、メールにあった西口の本屋に向けて駆け出した。


きっと、電車の時間に遅れそうで走っている人だと思われているんだろうな。


みなさん、親切に道をあけてくれる。


「すいません!」


腕が歩いていたお姉さんのバッグに軽くぶつかって、私は頭を下げ、また駆け出す。