「そう言う岬も、今日は彼氏とデートだったんだろ?」
「!?」
いきなり話の矛先が私に向いて、驚いて思わず目を見開いていた。
「か、彼氏って…。違うよ、だから、京佑くんは嘉乃の代わりに案内しただけだってば!」
私は、本日何度目か分からない言い訳を繰り返した。
「それにしてはやけに親しげだったけど」
「そんなことない!」
私はぶんぶんとかぶりを振る。
「……名前、男に呼び捨てにされてんの初めて見た」
私は、その言葉にハッとして樫野くんを見た。
そ、そういえば、見られてたんだっけ…。
京佑くんが迎えに来てくれたとき、樫野くん、いたんだったね…。
「……や、でも別に深い意味はないよ?」
だいたい、京佑くんが私を下の名前で呼んだの、あのときが初めてだし。
……そういえば、なんであの時京佑くんは名前で呼んだんだろう。
逆ナンから脱出するときは、彼女たちを牽制するためだって分かるけど。
あの時は、牽制する必要も、そんなことする相手もいなかったはず…。
私は、首を傾げた。
……ほんと、なんでだろう?


