それから、2,3分、部室棟脇の外の階段に座って待っていると、息を切らした樫野くんが現れた。
「悪い、待った!?」
「ううん、待ってない…けど、なんでそんなに息切れしてるの?そんな急いで来なくても大丈夫なのに。怪我人なんだから大人しくしてなよ」
呆れてそう言うと、樫野くんは「だからこんなん大した事ねーって」と言って笑いながら、私の隣に腰を下ろした。
「ていうか、言ってくれたら私がそっち行ったのに。どこにいたの?」
「えー…っと、…体育館の方?」
何故か言い辛そうに、樫野くんはそう言った。
なんで疑問形?
「体育館?もう何もやってないよね…。……あ、もしかして、告白とか?」
体育館っていうか、体育館裏?
て、それはまた違う意味の呼び出しか。
なんて冗談のつもりで言ったんだけど。
「……」
樫野くんは、顔を真っ赤にして固まってしまった。
「え!」
「なっ、なんだよ!そんなんじゃねーよ!」
私の驚いた声に我に返ったように、樫野くんは声を上ずらせてそう叫んだ。
「いやいや!バレバレだから!ていうかホントこの手の話に免疫ないんだね!嘘吐くの下手すぎ!!」
私は呆れるのも通り越して笑ってしまった。
樫野くん、純真!


