「そうかー、若者は元気だなー。……そういや、岬、職員の間でもお前噂になってるぞ?」
「え!?」
「すごいイケメンと文化祭、まわってたらしいじゃないか。先生も顔見たかったよ。他校の彼氏か?」
先生はそう言って悪戯っぽく笑った。
教師ってこんなこと言ってくるもん!?
「ち、違いますよ!あれは嘉乃の弟さんです!嘉乃がシフトで案内できないって言うから、私が代わりに案内してたんです!」
私は、ぶんぶんと顔の前で手を振って、慌てて適当な言い訳をした。
ちなみに、片付けの最中、「あのイケメン誰!?彼氏!?」と、思った通り質問攻めにしてきたクラスの女子たちにも、同じことを言った。
……信じてもらえたか自信ないけど。
「なんだ、そうかー。岬はそういう噂全然聞かないから、漸く春が来たのかと思って先生嬉しくなってたのに」
……よかった、先生は信じてくれたみたい。
嘘吐いてごめんなさい、先生!
私は心の中で手を合わせて謝っておいた。


