*琉菜




「じゃ、琉偉。いい子でね。」

「うん!」






今日も琉偉を幼稚園に送って、見送った瞬間ダッシュ。




毎朝のこの習慣のおかげであたしには持久力が見事についた。





そして、滑り込みセーフ。





これも毎朝。






「おはよ、桜。」

「おはよ。相変わらず汗もかかずにすごいね。」

「どーも。」





桜は一番仲がいい友達。




桜には全部話してる。





あたしは変な誤解されてたとしても、桜がわかってくれればいいや。






「そういえばさ、知ってた?あたし男いるとかいわれてるの。」

「知ってた。」

「なんで教えてくれなかったのー。」

「言う必要ないかなぁって!…ごめん。」

「…まぁ、確かにないかも…。」





それ知ってもなにもしないしなぁ。




なんも困らない。





「てゆーか、なんで今さらそれ知ったの?」

「あぁ、それは昨日たまたま栗山龍佑に会ったから…って、今さら!?前からなの!?」

「うん、最初から。ってそこじゃないから!栗山龍佑と話したの?」

「…え、うん…。」

「お気の毒に。」

「桜もファンじゃないよね。」

「だって、あれは性格悪そうだもん。」





桜の人を見る目ははずれたことない。




だからほんとに性格悪いんだ。





「やっぱ?なんか嘘くさいと思ってたんだよね。」

「前から言ってたもんね。っと、先生きた…!」





いやぁ、桜が友達でほんと良かった!





だけど、悪夢はここからだった。





朝のSHRが終わると、教室がざわめいた。






「栗山くんだぁ!」

「おはよう。」

「遅刻?」

「ちょっと寝坊して。」

「「「きゃぁぁぁ!」」」





意味分かりません。




あんた達、他の男子が寝坊したって言っても騒がないんでしょ?





「あ、笹原さん!」





話しかけんなぁぁぁぁぁ!!





「な、なに…?」





女子の…目が…。





「昨日はどーも。琉偉クンかわいかったね。」

「そ、そう…。」

「また会えたらいいね。じゃ。」





わざとか?



あの偽王子はわざとあんなことばっか言ったのか?




意味深に聞こえるでしょー!





「琉菜…お気の毒に。」

「桜ぁぁぁ…。」