「それにしても、相変わらず良い耳ね・・・というか、聴覚か。」
「え?そんなに良いのかな。あたしはただ、聞こえるだけなんだけど。」
そう、あたしはただ、聞こえてくるだけなんだ。それも、中学3年の冬頃から。
昔のワタシにはこの能力?はなかったみたいだけど。
「まあ、そんなに思い詰めんな。おら、嘉一こっち気づいたぞ。」
「嘘っ!・・・あっ、かーいーちー!!おはよぉ!」
もともと窓側の席だから、校門が見てるんだけれど、あたしは身を乗り出して大きく手を振った。
するとやっぱり、少し鬱陶しそうに嘉一は眉間に皺をよせた。
でも、そんな姿もカッコいい!
「かーいーちー、あとでお弁当渡しに行くからねーー!!」
毎朝、低血圧の嘉一は起きてもぼー・・・としてることが多くて、よくお弁当を忘れてしまうのだ。
だから、あたしが嘉一の分のお弁当も持ってきて、あとで渡すようにしてる。
「・・・・・・・・・。」
「ほら、嘉一困ってるじゃない。あんた、毎朝ここから手ぇ振られて見なさいよ、しかも大声でね。恥ずかしいでしょうが。」
「でも、これがあたしの嘉一への愛情表現だもんっ!!」
「・・・・・・チッ、何回言ってもわからないのね。これはもうどうにもならないわ。・・・嘉一、ガンバ!」
「・・・・・・ほら、イチ。ネーチャンが手ぇ降ってるぞ。応えなくていいのかよ?(笑)」
「別に、いつものことだろ。」
あー・・・、クールな嘉一もカッコカワユイですなぁ。うふ、今日も一緒に寝よう。うん、そうしよう。
「あたし、嘉一不足だっ!!!」
「毎日一緒に寝てるっぽいのに不足なんて、よく言えんな。アホ。」
なにぃ!?
「あたし、アホじゃないもん!プリティガール千歌ちゃんはアホじゃないもん!!」
「だったら、ブラコンだな。最高ランクのな。嘉一に彼女できたらどうすんだよって話だよな。」
なぬっ?!
「嘉一彼女いるの!!?」
え、やたやだやだやだ!
あたしの嘉一あげないよっ!
まだダメだよ!
嘉一のファーストキスはあたしがいただくんだからぁああぁあぁ!!
「・・・・・・・・・・・・モウヤダ、カエリタイ。(泣)」
「嘉一、これはしょうがない。もう、お前のネーチャンは誰にも止められねぇんだ。諦めろ、な?」
「そうだぞ?イッチーにだって、いつか彼女出来るからな?大丈夫だぞ。」
「・・・・・・それ、慰めになってんのか?」
あれ、嘉一の周りに不のオーラが。
マキくん達が慰めてる??
「チー、」
「ぅん?なに、コタロウ?」
「お前、さっき声にでてたんだよ。」
えー、なんのことだぁ?
「なにがー?」
「・・・・・・『嘉一のファーストキスはあたしがいただくんだからぁああぁあぁ!!』・・・ってな。」
「あれ、デジャヴ。」
「・・・・・・・・・、」
「・・・・・・・・・、」
「・・・・・・ねぇ、ウタ。」
「なによ。」
「あたし、急に恥ずかしくなってきた。」
「そりゃ、そうでしょう。ほら、そろそろ先生くるから私達席戻るから。」

