春の木漏れ日などは過ぎ去り すっかり暖かくなった日。


野球部の朝練を眺めながら歩く。


その横を歩く潤が言う。


「宮津とは相変わらず?」


野球部から目を離さず私が言う。


「うん 普通だよ。」


何だかんだ 剛と私は続いていた。


邪魔者だって現れず ケンカもせず 平凡な付き合いをしていた。


「昨日で2ヶ月じゃん。」


「うん そうなの。」


今日が5月29日。


私たちが付き合ったのは3月28日。


昨日でちょうど2ヶ月を迎えたのだ。


剛からは夜に電話があった。


他愛ない話と 好きという気持ちを伝えた。


だから夜は何だかほっこりしてよく眠れた。


こんなに温かな幸せを実感する日々に 段々と慣れてしまって もし今剛が離れていってしまったら 私は何もなくなってしまう。


それくらいに 彼は大きな存在だった。


練習をやめて部室に戻っていく野球部。


潤はそれを目で追っていた。


「だーれ見てるの?」


ビクッて潤の肩が反応する。


「……ん?」


土間の前まできて 潤が立ち止まった。


俯きながら何かを言おうとしているようだった。


「……私さ 好きな人ができたの。」


「……え…。」


そうそれは 新たな恋の始まりだった。