爽やかな風が髪を揺らす。


ぎゅっと握られた手からは 温かな温もりが伝わる。


2人で歩く駅から学校までの道のりは 1人の時よりずっと短かった。


「暖かくなってきたね。」


「うん。」


好きだよと囁きあう甘い日々は だんだんと温かな愛を感じる日々へと変わっていった。


あと6日で2ヶ月。


特にケンカもなく 穏やかに流れた3ヶ月。


お互い気持ちに変わりはなかった。


キスはまだだったけど ゆっくり進むのが私たちにはぴったりだったから 焦りや不安はなかった。


剛がただただ好きだった。


「もう学校だー。 早いよね着くの。」


「楽しい時間はあっという間だからね。」


そっと頭を撫でられると なんだかくすぐったい。


そしてちょっと浮かぶ 佐々木くん。


…あの日から 夏架と砂依と私は 今までとはちょっと違う仲の良さがうまれた。


それもみんな 佐々木くんのおかげ。


「ありがとう。」と言ったら 「いいえ。」って大人ぶって答えてたっけな。


こんなの 剛には話せないんだけど。