目の前がゆらゆらと揺れて ぽろぽろこぼれ落ちる涙。


伝うような涙じゃなかった。


体や心の奥から ぶわーっと湧き出るような大粒の涙。


気が付いたら走り出していた。


廊下を行くみんなが私を物珍しそうに見る。


……屋上だっ…。


こういうときの定番 屋上だ。


階段を一気にかけ上がる。


「…はぁっ…はぁっ…はぁっ…。」


息を切らしながら重くて分厚い扉を開ける。


暖かな太陽を全身で感じられる 清々しい風の吹く屋上。


「……ぅっ…うわぁぁぁーっ!!」


止めどなく溢れる涙。


止められなかった。


誰も見ていないと思っていた。


誰も……。


「高木っ!!」


突然あいた 屋上の扉。


「……高木…。」


来てくれたのが剛だったらさ。


剛だったら 何か違ったのかな?


ぼろぼろな顔で振り向いて 真っ赤な目で見た人。


「………佐々木くん…っ。」