剛は潤が好きなんだって思ってたのに。


片想いなんだって思ってたのに。


だっていつも話しかけるのは私じゃなく潤で 気にしないふりする度に胸が痛かった。


剛を好きになった日から今日までの 色んな思い出が涙と共に溢れてくる。


「…っっ……っ…。」


泣き声は抑えきれず 電話の向こうの剛に届く。


「泣いてるの? 高木。」


優しい声が 私の涙をそっと止めてくれる。


「…あのね剛。 私からも伝えたいことがあるの。」


深く深呼吸をする。


「うん。」


剛らしいシンプルな返事。


「…私も ずっと剛が好きだった。」


ぎゅっと目を瞑った。


「お付き合い お願いします。」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


それから 何もかもが輝いていた。


毎日くれるメールと電話が すごく楽しみで ドキドキして夜は眠れない日が続いた。


「奈穂 好きだよ。」


優しくて甘い声。


「うん 私も剛が好きだよ。」


潤にはすぐに報告をした。


潤は泣きながら喜んでくれた。


そして 過去の私に感謝する。


剛と同じ高校を受けていたこと。




幸せが溢れ出すなか迎えた 4月7日___。