その週の金曜日。
「じゃ 奈穂ばいばい。」
「ばいばい。」
今日も何となく時間が過ぎて 夏架と砂依との間に感じている距離は消えないまま。
「はぁー…。」
ため息を吐く回数だって増えた。
「高木? ため息ついたな 今。」
相澤くんがまた私の前の机に座った。
「ついてない。」
「強がるなってー。」
にこにこってホントに楽しそうに笑う。
だけど目は相変わらず冷静だ。
「ねぇ なんかあったの?」
鞄に教科書をつめていく。
「別に 何もないよ。」
「ふーん。」
上から 全部見透かしているように私を見つめる相澤くん。
見透かされるのは苦手だ。
「ねぇ 高木。」
ぐいっと顔を近づけるから 教科書を鞄につめる手が止まる。
「…なに……?」
「高木をおとした…なんだっけ…宮津?って すごいな。」