「心に聞いて欲しい話しがあるんだ」

父さんに
そぉ言われたのは
実家に帰って来て
一月程経った頃だった。

その日、
母さんは同窓会で居なかった。

「話しって何?」

何時になく真剣な父さんの顔に
ただ事じゃない気がした。

「お前の名前の由来と父さんの昔話だ」

その二つに接点があるのだろか?

「昔、まだ、母さんと結婚する前
父さんには恋人が居てその人の名前が
湯木心夜という名前だったんだ」

紙に
"湯木心夜"と書いた。

何となく話しが見えて来た。

「俺は当時付き合ってた心夜と
無理矢理別れさせられて
母さんと見合いさせられたんだ」

その時の二人は
どんな気持ちだったんだろ……


父さんが俺達のことを反対しないのは
昔の体験からだったのか……

そして、オレの名前は
昔の恋人から取った訳か(苦笑)

父さんは多分心の奥底では
まだ心夜さんを
愛してるんだと思う。

だから、オレに

この名前を付けたんだ。

昔の恋人を愛した人を忘れないように……

それと多分
読みを
"こころ"じゃなく
"しん"にしたかったん
じゃないかと思う。

「ねぇ、父さん、
オレの名前
本当は"しん"に
したかったんでしょ?」

「そぉだ」

やっぱりね。