「じゃぁ、僕は仕事に戻るね。」

「わかりましたわ。」

アリスは精一杯の笑顔で答える。

それを見たラビスは暗い廊下の奥に消えていった。



もう少し一緒にいてほしいなんて…言えない。



食器を片付けたアリスは部屋に戻り、クローゼットにあった闇のように黒いドレスを着る。

「ぴったりですわ。」

アリスは微笑んだ。そして真っ赤な靴をはき、外に出た。


外は日差しが強く、少し歩いただけで汗ばむような暑さだった。



どのくらい歩いたかしら?



アリスは歩いた。ずっと、ずっと。

そう、あの木を目指して。

けれども歩けど、歩けど大きな木は見えてこない。



おかしいですわ。たしかこの辺だったはず…
何だか気分が悪くなってきましたわ…少し休みましょう



アリスは木陰を求めて歩き回ったが、ついに木陰を見つけられないままその場に倒れた。