ある晴れた日の昼下がり。

私はお姉さまと木陰で読書をしていましたの。

そしたらね、

「アリス…アリス…こっちへおいで。」

って声がしましたの。

私は迷わず声の方向へ向かってみましたの。

声の先には一面の野ばら畑が。

私は引き寄せられるように野ばら畑の中に…

野ばらの棘が幾つも私の足に刺さりましたわ。

白いソックスが真っ赤に染まりましたわ。

でもね、不思議と痛くなかったの。

何ていうか…そんな痛さ気にならない感じって言うのかしら?

私は野ばら畑の先に行きたくて仕方がなかったのよ。

痛さなんて関係なかったのよ。

野ばら畑の先には大きな木がありましたわ。

いつも部屋の窓から眺めていた木。

初めて真下で見たけど、こんなに大きな木だとは思いませんでしたわ。

声は…その木の根元から。

いいえ。

根元にある大きな穴から。

私は迷うことなく飛び込みましたわ。

暗い、暗い

大きな、大きな

穴に。



落ちる、落ちる。。。

どこまでも、どこまでも。。。