7月末。

妊娠が発覚して一週間と3日。

晴也に言わなきゃいけないけど、
先週から学校に来てない。

拓実なら晴也の居場所、知ってるかな??
晴也と別れてから拓実とは
なんとなく気まずい。
でも…拓実しかいない。
放課後拓実を公園に呼んだ。

「拓実…?ききたいことがある。」
「沙耶…。」

「晴也はどしたの?どこにいるの?」
「そんなの…もう沙耶と晴也は
 別れたんだからいいだろ。」
「どうしても晴也と話さなきゃいけないの。」
「だからっ!沙耶には関係な…」
「あたし!妊娠してるの!!」
「え…!?」
「妊娠してるの…。晴也との子だよ…
 だからどうしても会って話さなきゃ!
 お願い!!教えて!」

拓実は少し考えてから話しだした。

「分かった。
 …晴也な、入院してんだよ…」
「え…?」
「病気なんだよ…」

嘘でしょ…

「え…治る…よね…!?」

拓実は…静かに首を振った。

「原因不明の心臓病なんだよ…。
 薬もねぇ、治療法もねぇ…」

え…?

「晴也に沙耶だけには言うな
 っていわれてたんだよ…。
 沙耶は心配性だから、優しいからって。
 
 あいつ…めっちゃ泣いてた…
 一生守ってやるって…
 ずっと一緒にいようって…
 約束したのに… 一緒にいたかったのに…って。
 でも、俺と別れたら…
 俺がいなくなっても悲しまないだろ?って。」

「それで私と別れたの…?」
「うん。」
「なんで…
 私、バカだ…バカだ…!!
 私がはやく気づいてあげれば…!
 晴也を悲しませなくて済んだのに…!」

「行ってやれ!晴也のところに!
 Aヶ崎病院だ。」

Aヶ崎…あの海のところだ!

「拓実…ありがとう!!」

私はすぐに走り出した。