1月になった。
臨月を向かえ私はもうどきどき!
12月から晴のお母さんにいわれて
晴也のお見舞いは
一週間で最高2回にした。

1月19日朝。
私は久しぶりに晴也のお見舞いに来た。

「晴也!」
「沙耶!来てくれたのか!」

晴也は体が弱り、
咳き込むことも多くなった。
12月に一度発作を起こし、
余命2ヶ月だと言われた。

晴也は私のお腹を撫でながら私を見て笑顔で

「来てくれてありがとな。」

といった。

「沙耶、この子生まれんの
 もうすぐだよな。」
「うん。」
「楽しみだな~!」

そのとき、私のお腹に鋭い痛みが走った。


陣痛だ…


私は床にうずくまった。

「沙耶!沙耶!大丈夫か!?
 誰か呼ぶからな!ちょっと待てよ!」

晴也の声が聞こえる。

「大丈夫ですか?陣痛ですね。
 いま分娩室にいきますから!
 晴也くん、沙耶ちゃんの
 ご家族に連絡を!」

看護婦さんの声も聞こえる。

痛い!…痛い!!

「頑張ってください!」

分娩台にあがる。
横を見ると車椅子に座った晴也が
私の手を握ってくれていた。

「沙耶、頑張れよ!
 俺ずっとここにいるからな!!」


「力んで~!」


1月19日午後3時21分。
無事に出産した。

「吉井さん、生まれましたよ!
 元気な女の子ですね!!」

晴也は涙を流しながら

「沙耶…お疲れ様…。
 よく頑張ったな…。
 産んでくれてありがとう…!」

と言った。


胸の上に乗せられた赤ちゃんは
とても小さかった。
晴也と三人で泣きながら抱き合った。



この日も晴れだった。