『春』 美しく地に咲く桃色は 視界に入ると儚く散り行く 翼で空を飛ぶ歌声は 耳に届くと雑音と化す 爽やかな風が運ぶ多種の香は 嗅覚で感じるとむず痒くなる 心休まらない一時 その花を見上げて何を思う 勝手に咲き誇る桃色は 目にも止まらず美しく舞う うるさく飛び立つ鳥たちは つがいとなって高らかに鳴く 空気に溶ける強い香は 胸中に蒔かれた美しき種 安らかなその一時 その花を見上げて何を思う