「ちょっ…ヤダ!!なんで開けるのよ!!」
慌てて胸を手で隠し大声を上げる私を
彼は表情を変える事なく見下ろし
「好きな女の裸見たいと思うの…当然だろ?」
と、平然とした顔で言う。
そして、ズカズカとバスルームに入って来たと思ったら
そのまま洗い場にあぐらをかいて座った。
高級ブランドのスーツが濡れ
見る見る内に染みが広がっていく。
なのに彼は、そんな事ちっとも気にせず
戸惑う私をジッと眺めていた。
目線の高さは同じ
彼からは湯船の中は見えない。
でも、この状況は耐えられない…
「初めから、そのつもりでお風呂に入れって言ったのね?」
「あぁ、そうだ」
「酷い…やり方が汚ないわ!!
成宮さんの事、信じてたのに!!」
彼をキッと睨み付け
吐き捨てる様に叫ぶ。
「好き…だから」
「えっ…」
「好きだから、星良の全てが見たい…」
まるで射抜く様な視線が
私の体を硬直させ
心臓の鼓動を早くする。
なんなの?この感覚…
彼が濡れた私の髪を優しく撫で
その指はやがて頬に触れ
唇へと移動する。
私は初めて男性に触られた処女みたく
体が固まって動けない
「星良が、欲しい…」
「なる…みや…さん」
拒否…出来なかった…
彼も微妙な私の心の変化に気付いていたんだろう…
完全に無防備になった私の顎を持ち上げ
彼の顔が近づいてくる…



