「僕、新井 満(あらい みつる)って言います。
えっと…新井の"あら"は、新しいって字で
"い"は、井戸の井で…」

「名前の説明はいい。
社内を案内してくれ」


全く…こんな程度の低い社員
よく雇ってるな…


「あ、はい!!失礼しましたー
では、トイレの場所から…」

「はぁ?」

「トイレは大切ですよね?
急にお腹とか痛くなっちゃったら大変ですし」


俺の呆れ顔に気付く様子もなく
満面の笑みでエレベーターのボタンを押す
トンチンカン新井


「ったく…」

「はい、ここが5階です」

「見れば分かる」

「ですよねー
5階はデザイン企画部と、商品開発部がありまして…
トイレはこちらです」


まだトイレにこだわってるのか?
コイツ、よっぽど腸が弱いんだな…


「はい、ここがトイレでーす!!
男性用は、個室が3つに…
あっ、中を見た方が早いですよね。
見ます?」

「いや…いい…」

「おや、残念。
じゃあ、僕はちょっと失礼して…」


はぁ?案内の途中にトイレタイムかよ?


パタン…


あっ…行っちまった…
信じらんねぇー…
俺を誰だと思ってんだ?


一人トイレの前に残され
呆れ顔の俺は、隣の女子トイレのドアにもたれ掛り
大きなため息を付く。


すると…


ドン!!ガガガガン!!


「おわっ!!」