皆の冷ややかな視線が仁に向けられると、彼は慌てて言い訳をする。
「な、なんだよ…その眼は?
俺はモデルじゃないんだぞ!!普通の結婚式ならまだしも、マスコミなんかも来てるショーで結婚式なんて恥ずかしくて出来ないだろ?」
「ふふふ…
でも、明日香さんに一喝されたのよね。
そんなヘタレ専務に星良ちゃんは任せられない。
パリには私が行くから専務は日本で星良ちゃんの活躍を指を銜えて見てろ…って」
ゲッ…明日香さんったら、いつもの調子でそんな事を?
「お陰で仁が首を縦に振って、めでたし、めでたしってなったのよ」
「明日香は俺が苦手な女№1に昇格してもらった…」
ため息を付き仁が項垂れると、その横でマダム凛子が腕時計を気にしながら声を上げる。
「さあ、もう時間がないわ。結婚式の準備に掛って」
すると私はスタッフに仁から引き離されチャペルの裏口へと連れて行かれる。
「どこへ行くの?」
「着替えてもらいます」
「えっ?着替える?このドレスで結婚式するんじゃないの?」
「……」
それ以上、何も答えてくれないスタッフ。
控室に入ると、あっという間にドレスを脱がされ見たことも無いドレスを着せられる。
でも…このドレス…
「なんか…いい…」
豪華さはさっきのドレスには到底、敵わない。でも、品のあるとてもシックなマーメイドタイプのドレスだ。
深くカットされたVネックだけど、全然いやらしくなくて、柔らかいカーブのボディーラインが凄く綺麗…
そして何より私の体にジャストフィットしている。
なんだろう…この感覚…
とても幸せで、満たされた気持ちになる…
鏡の中の自分をうっとり見つめていると、マダム凛子が控室に入って来た。
「用意は出来た?」
「はい」
「そう。じゃあ…入りなさい」
マダム凛子が少し開いている入口のドアに向かって手招きすると、意外な人物がドアから顔を覗かせた。
えっ…うそ…



