渡されたガウンに着替えると、すぐにメイクが始まり、徐々に変わっていく自分に見惚れていた。
別に自惚れているワケじゃなく、まるで別人の様に私を変えていくプロのテクニックに関心していたんだ。
メイクが終わり、鏡を覗き込んだメイクさんが「どう?」と聞いてくる。
正直に「すっごく素敵です。私じゃないみたい…」と答えると、なぜか大ウケしてケラケラ笑うメイクさん。
「変わったモデルさんね」
「えっ…?」
「私が担当するのは、マダム凛子が直接声を掛け出演してもらうトップクラスのモデルばかりだから、皆さん至って冷静なの。
こんなに素直に喜んでもらったのは久しぶりだわ」
「そうなんですか…」
なんだか私、素人丸出しって感じで恥ずかしい…
そして髪のセットも終わり、いよいよあのドレスを身に着ける時が来た。
何度見てもため息が出る美しさ。
ひんやりとしたシルクが想像以上に心地良く、まるで私の肌に溶け込んでくるような不思議な感覚。
ベールとティアラを付け大きな姿見で全身を映すと、更に豪華なドレスが際立って見える。
つまりそれは、私が完全にドレスに負けてるって事…
どう見てもドレスを着ていると言うより、着せられているって感じだ。
ドレスの輝きと自分の不安げな顔がとてもアンバランスで、全然似合ってない…
それは私と並んで鏡を見ているメイクさんも感じたのか、腕組して「うーん…」とうなりながら顔を顰めてる。
メイクさんのその姿を見て、余計に不安になってきた。
「まぁ、今日はリハだからね。取り合えずこのスタイルでやってみて」
「は、はい…」
迎えに来てくれたスタッフとぎこちない足取りで控室を後にし、ホールの奥にあるドアを出ると、屋根付きの渡り廊下がチャペルの裏口まで続いていた。
恐る恐るチャペルの中に入り辺りを見渡すと、出番待ちをしているモデルさん達の視線が一斉に私に集中し、心臓が大きく音をたてる。
ドキッ…



