「付き合ってくれなかったら、まだ極秘だったマダム凛子との共同企画をマスコミにリークしてやるって脅してやったの。

さすがに仁さん困ってたわ。
でも、付き合う事は出来ないって…

それで、ここでキスしてくれたら諦めてあげるって言ったら、仁さん迷わずキスしてきたわ。

課長さんが、すぐそこのトイレに居るとも知らずにね」

「ちょっと待って…
もしかして…あなた、私がトイレに居たの知ってて…」

「当たり前じゃない。
課長さんがトイレに立ったのを確認して仁さんを呼び出したんだもの

どうだった?私と仁さんのラブシーン
彼、口では紳士みたいな事言ってたけど、実際キスしたら凄く情熱的で驚いたわ。

きっと、当時の彼女に満足させてもらってなかったんでしょうね。
場所が違ってたら、間違いなく仁さんは私を抱いてたわ。

可哀想な仁さん。エッチが下手な女なんて、ホント…最悪ね」


悪びれる様子もなく、呆気らかんと話す理子が許せなかった。


「あなたって人は…」

「ふふ…私が憎い?なら、怒れば?その方が面白くなるし」


膝の上の拳がプルプル震え、理子を殴ってやりたいという衝動に駆られる。
でも、ここで騒いで大人気ない態度を取れば理子の思うツボ。必死で怒りを抑え気持ちを落ち着かせていると…


突然、理子の表情が一変した。


「それと、もう一つ…ここからが本題よ」


悪意に満ちた瞳が私を凝視しする。


「アンタが私をモデルから降ろした事、許せなかった…
私は、あの企画に賭けてたのよ!!
なのに…

だから、なんとしてもアンタを潰してやりたかった」

「なんですって?」


さっきまでの理子とは別人みたいに顔が引きつり、声のトーンが低くなる。


「パパに頼んでピンク・マーベルの社長の所に怒鳴り込んでやったわ。
アンタをクビにしろってね。
私と同じ思いをアンタにもさせてやりたかった」


知らなかった…そんな事があったなんて…


「でも、それを拒んだのは…仁さん」

「えっ…専務が?」