観念して渋々、扉のチェーンを外すと、凛子先生は俺には眼もくれず大声を張り上げながら部屋の中に突進していく。


終わったな…万事休すだ…


ガックリ肩を落とし、凛子先生の後を追う様に部屋に入る。


「安奈!!安奈、居るんでしょ?どこ?」


凛子先生の声に驚いたのか、ベットで眠っていた安奈が眼を覚まし跳ねる様に体を起こした。


あぁ…マズい…


「あ、安奈…あなた、その格好…」


呆然とする凛子先生を見て、やっとこの状況を理解したのか、全裸の安奈が胸の前で腕を交差させた。


「ママ…どうして…ここに?」

「それは、こっちの台詞よ!!どうして安奈がここに居るの?
それも…裸で…。まさか、あなた達…そんな関係だったの?」


怒りに震える凛子先生が俺を睨みつけた。


「違います。俺達は決して、そんな関係じゃあ…」


否定する俺の言葉を遮り、安奈が叫ぶ。


「そうよ!!あたしと蒼君はそういう関係よ!!悪い?」

「お、おい!!何言ってる…」


そう言い掛けた俺の言葉を、今度は凛子先生が遮った。


「バカ言ってるんじゃないわよ!!
成宮には婚約者が居て、もうすぐ結婚するの
こんな不純な事…」

「…不純な事?ママにそんな事言われたくない!!
ママのした事に比べたら、あたしなんて可愛いもんだよ!!」

「なっ…」


凛子先生がした事?安奈が言ってるのは、ピエールの事か?


「偉そうな事言ってないで、早く服を着なさい!!帰るわよ!!」

「イヤッ!!」

凛子先生が安奈の腕を掴み強引に立たせようとしたが、安奈は抵抗し、その手を振りほどき凛子先生を付き飛ばした。


「何するの?」

「あたしの事は、もう放っといて!!
あたしは蒼君が好きなの。彼に婚約者が居ても関係ない」

「冷静になりなさい。こんな事、私は許しませんよ!!」


怒鳴る凛子先生に、安奈は冷めた視線を向け
そして、言った。


「ママの娘だから仕方ないじゃない。
ママと一緒の淫乱な血が流れてるんだから…」