「そう…でも、仁が私の部屋に来たなんて知ったら、あの娘、発狂しちゃうんじゃない?ふふふ…」
嫌味混じりにそう言って笑う私を、冷めた眼で見つめる仁。
「酔ってるのか?」
「ええ、酔ってるわよ~。
彼氏は帰って来ないし、元カレの彼女にはバカにされるし…
飲まずにはいられないわよ」
「そんなに絡むな…安奈の事は謝るから…」
「別に仁に謝ってもらおうなんて思ってないし…」
クルリと向きを変え、リビングの方向に歩き出したのはいいが、足がもつれて上手く歩けない。
「大丈夫か?」
ソッと差し出された仁の手を払い除け、壁を伝いながらリビングに辿り着くと、飲み掛けのワイングラスを手に取り、ソレを一気に喉に流し込む。
「もうよせ」
「私の事なんて、放っといて!!」
奪われそうになったグラスを両手で掴み仁を睨むと…
「放っとけないだろ…」と仁のもう片方の手が私の手を包む。
あっ…温かい…
仁の手の温もりに反応してしまう自分が許せなくて、グラスを持つ手に力を込めた。
すると仁は、私の手を離す事無くソファーに座り、話し出したんだ。
「今日、マダム凛子から電話があって、成宮の事を聞かれた。
どうしてアイツがあんな事をしたのか、理由を知りたいと言われてな。
俺は島津に聞いた話しを彼女にしたんだ。
島津をコールセンターに移した事を恨んでピンク・マーベルを裏切ったと…
それを安奈が聞いていたんだ。
でもまさか、安奈が島津に食ってかかるとは思わなかったよ。
まだ知り合って間もない成宮を、どうしてあんなに心配するのか…
安奈に聞いても何も言わないし…」
「ねぇ、それって…」
「んっ?」
「あの2人、もしかして…」
「まさか、デキてるとでも言いたいのか?」
仁の表情が険しくなる。
「もし…そうだったら、仁はどうする?」



