メルヘン侍、時雨れて候

2人で救急箱を取りだし手当をした。

「それにしても酷くいじめらたもんだねコレ」

「そうですね。ひでぇ野郎もいるもんですよ」

「うわー、ここも酷い傷だねコレ」

「これとか言わないでくさいよご隠居。犬ですよ。いぬ」

くりくりとした目を2人に向けてしっぽをゆっくりと振っている。ケガの具合から、どんな目にあったのかぐらいはだいたいの想像はつくが、今はおとなしく2人の間で座っている。

ご隠居が冷ゴハンに温めたみそ汁をかけたモノをもってくると、犬は2人の顔を交互に見ながら遠慮をしているのか、なかなか食べようとしなかった。

「いいんですよ。たべなさい」とご隠居が言い。

メルヘンさんは四つんばいになって器に顔を近づけて食べる真似をはじめた。

犬は、それを真似するようにおそるおそる食べ始めると、しだいにびちゃびちゃと夢中になり食べ始めた。

その景気のいい食べっぷりに2人は顔を見合わせて笑った。

「そうだ、ご隠居!

名前を付けましょうよ

名前」

「名前ですか」

「そうだなー

茶色い犬だから、ちゃわんというのはどうでしょうか?」