メルヘン侍、時雨れて候

「結局さ、自分と似た人を好きになるわけさ」

「は、はい」

なんて気持ちよく自分語りをしているのだろうか。あんなに恥ずかしい恥ずかしいと言っていたのにとご隠居は思った。犬も思った。

「同族、同種族で能力が低い人が高い人のことを評価するのさ、それ以外なんてただの勘違いみたいなもんだ」

さすがはデビルモードだ。黒すぎる。と、ご隠居はたじろいだ。しかし完全に暴走をしている。脈絡がまるでない。これをどうにか、わしが止めなければとご隠居は集中する。また完結が出来なくなる。それだけはなんとしてでも食いとめなければならない。

デビルモードを解除する方法は2つ。

すべてを吐き出させること。だが私とこの子の肉体が持ちこたえれそうもない。

もうひとつは、底に眠る深層意識を呼び起こし、分離させる事だ。ただし、この方法はメルヘンさんの自我、精神そのものが消滅してしまう恐れがある。だが、この方法に賭けるしかない。

メルヘンさんの底に眠る強さを信じるしかない。大丈夫さ、一番近いところで見てきたわしが信じられないで誰が――

最後の力を振り絞りご隠居は、極力短くて強烈なフレーズを思案した。

「お…

お…

おま」


煙の固まりの悪魔はゆらゆらと笑いながら見ている。