メルヘン侍、時雨れて候

「2~3人しか読まないような小説を、おぬしは一体なんのために書いておる?」

その言葉は衝撃波となりメルヘンさんを襲う。

目の前で腕をクロスさせてその衝撃に耐えるが、腕に細かい傷が幾つも入る。

そのまま壁に叩き付けられそうになるのを片足で後ろの土壁を蹴るようにしてなんとか堪えた。

クロスした傷だらけの腕の隙間から、メルヘンさんの目があやしく光る。

「2~3人? ふうん。

1人いればいいね。

1人いれば十分じゃないか! その感性の人が100万人いればいい話だろうが! 僕のことがキライでもいいし、僕の書く話がつまらないといってもらっても結構だ。だけど、面白いと言ってくれる人まで、馬鹿にしてんじゃないよ。

読んだ人数じゃないだろう? PVがすべてじゃないだろうが!」

山田さんの顔を浮かべながら発した熱い言葉達は、炎をまとった弓となりご隠居の肩へと突き刺さって燃え上がった。

ご隠居の顔が少し歪んで、右足が後ろに引いた。

戦える。メルヘンさんは一気に間合いを詰めた。だが、燃える炎の矢を素手で掴んで引き抜き、ご隠居も前に出る。